野上の熟成肉(卸)
熟成肉とは、一定期間低温で保存した肉で、肉の質感、味が変化することでおいしくなると言われています。 食肉は、死後硬直後、酵素の働きで保水性が高まり、アミノ酸やペプチドが増加して味、香りがよくなると言われています。
野上の熟成肉は本当にいいお肉を、
一流の技術で出来るものを熟成させています。
ここ数年の熟成肉ブームの始まりは、赤身肉をやわらかくおいしくする技法として、アメリカから日本にも上陸し話題となった“ドライエイジングビーフ”から。
実は熟成肉についての公式な定義は、まだ日本にはないのですが、
熟成方法は4種類ほどに分けられます。
- 一つは、アメリカから上陸した“ドライエイジング”。
- 二つ目は、日本の伝統技法“枯らし熟成。
- 三つ目は、真空パックして保存する“ウエットエイジング
- 四つ目は、チーズやヨーグルトなど乳酸菌を付着して熟成させる”乳酸菌熟成。
技法も違うのでそれなりに味わいが違うとも言われています。
ドライエイジング
チルド状態(0~1℃)の冷蔵庫内で、肉に風を循環させながら乾燥熟成する技法、ドライエイジング。アンガス牛のように歯ごたえのある赤身肉を熟成することで、やわらかくナッツのような香ばしい香りのお肉に仕上げるテクニック。アメリカでは、アンガス牛の比較的霜降りが多い部分(サーロイン)を熟成するが、和牛の霜降りほどではなく、かなりイメージが異なる。
和牛の霜降り肉は、脂肪が多いのであまりドライエイジングには適さないと言われている。が、和牛でも脂の少ない赤身肉、肉が固くなってしまった経産牛(出産経験のある牛、主に乳牛)には効果的で、やわらかくなり、うま味がアップする。
枯らし熟成
“枯らし熟成”は、日本の伝統的な肉の熟成方法。牛肉の半身(一頭買いとは、半身2本分)をすぐに解体せず、一定温度と湿度、そして熟成を助ける菌が滞留する冷蔵庫に入れ、4週間前後そのまま保管。日本の熟成は、枝肉(=半身)のままただ吊して冷蔵保管する方法。この枯らす行為で、程よく水分が抜け、旨みがまし、和牛の至福香と言われる“和牛香”がより芳醇になる。
枯らし熟成は、実は、70年代頃まではいろいろな小売店で行われていた技法(熟成という言葉を使い出したのはここ数年)。けれど、手間がかかり、利益率が悪く、また真空パックが普及し、流通がよくなったため、枯らし熟成は行われなくなってしまい、今では希少な技法となっている。
ウエットエイジング
ウエットエイジングは、もともとは輸送する際の肉の劣化を防ぐための、保存方法。それが、肉を数日寝かせると肉質がやわらかくなり、うま味が増すことがわかり、ウエットエイジングと呼ばれるようになったと言われている。
けれど、元々保存が目的なので、お肉はやわらかくなるが、うま味はドライエイジング、枯らし熟成と比べると、それほどアップするわけではなく、熟成香もない。まして、お店に経験と知識がないと、熟成と劣化の区別がつかないこともあるので注意が必要。
熟成すると味が変化するのかどうか?
肉を熟成するとおいしくなるのは、たんぱく質(肉自体)が自己消化することにより、ペプチド(2つ以上のアミノ酸が結合したもの)に変質し、そこでピラジン類が発生。
このピラジンが、加熱することで香ばしい香りを発生し、その香気が、おいしい!と実感させると言われている。ドライエイジングのお肉が香ばしくおいしいと言われるのも、このピラジンの影響と言える。
しかし、熟成肉は、旨味成分、アミノ酸がたくさん生成しているからおいしいというわけではなく、科学的に見ると実は、熟成肉のアミノ酸量はそれほど多くない。しかし、加熱するとピラジンという成分が発生し、香ばしい香りがし、それが一層おいしい! という実感となることがわかってきています。
(元農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の論文より)
熟成肉を味わうなら、塊焼きが一番が美味しいといわれています。
熟成肉は、通常のお肉と比べると水分(正確には自由水のことで、食品中の成分と結合せず、移動することができる水。蒸発したり、凍ったりする)が減っているので、その分うま味が強く、味わいを濃く感じる。ただ、水分が少ないので、焼くと水分=肉汁が少なくなってしまう可能性がある。だから、できるだけ、火があたる表面積を最小になるように焼くのが熟成肉を焼くコツ。
焼肉店では、薄切りで提供するお店が多いが、熟成肉を食べるなら、塊焼きが絶対おススメ! 肉の表面6面をカリッと焼いて、じっくり中に火が通るように転がしながらミデアムレアに仕上げる。うま味と肉汁がぎゅっとつまったお肉が堪能できる。
また、薄切りの場合は、お肉を6枚くらい片面焼きし、積み上げひとつの塊を作る。その塊のまま、側面をさっと焼けば出来上がり。食べるときは、1ずつバラバラにして食べれば、肉汁を逃すことはありません!
熟成肉は、家庭の冷蔵庫ではできない
お肉をただ冷蔵庫で寝かせれば、熟成肉ができるわけでない。冷蔵庫で入れたままでは、腐敗するだけなので要注意! 熟成肉は、専用の冷蔵庫、貯蔵環境が整っていないとできません。
熟成肉の基準
熟成肉の規定は、まだ日本にはありません。ただ日本ドライエイジングビーフ普及協会では、アメリカのドライエイジングの規定を参考に一定の基準を設けて普及活動をしている。けれど、どのお店や業者もそれに準じているわけではなく、また熟成方法も枯らしやウエットなどいろいろあるので、販売者が自主的な判断で熟成肉を扱っているというのが現状。そのため、本当に熟成している肉なのか? という断言できるものがないのが問題となっている。
また、経験の少ない取り扱い業者には、熟成と腐敗の区別が曖昧なこともあるので、行政も基準作りの準備が必要と調査を始めている。